COLDFEVER

アクセスカウンタ

help リーダーに追加 RSS 『TAKESHIS'』

<<   作成日時 : 2005/12/06 20:18   >>

トラックバック 1 / コメント 4

画像

何かと話題の『TAKESHIS'』。
偶然通りかかった映画館で上映されており、
時間もぴったりだったので観てみることにしました。
これまでの北野作品およびビートたけしの笑いに魅力を感じていなかったので、
私にはきっとハマらないだろうな、と思っていたのですが、、、
思いがけず、神様からのビッグプレゼントが私に届きました。

[ストーリー]
ビートたけしは芸能界の大スターとして多忙で、リッチな生活を送っている。
一方でビートたけしとそっくりな、しがないコンビニ店員・北野は
売れない役者として苦闘中。
偶然にも北野はビートたけしと出会うが、一向に受からないオーディションの連続で、
ついに北野はビートたけしの演じる映画の世界に迷い込んでいく。
それは、幻とも現実とも区別がつかないファンタジーの世界…

[観おわって]
平日昼間の劇場は、観客が10人程。
しかも、一番後ろの席には何故か小さい子供とお母さんのグループがいて、
主人公がスパゲティを食べるシーンでは、子供が「食べたい!」と叫び出す始末。
いつもなら、映画館子供禁止!とイライラしているところですが、
今回に関しては、「私も!」と叫びたくなる程、終始楽しい気分で映画が観れました。
とにかく、おもしろかった!

ブラックジョークでもない、ウマイことも言ってない、
ましてやエスプリとは真逆の、まさに「ベタな笑い」。
現代日本のお笑い映画の決定版と言っても過言ではない、笑いどころ満載の映画、
断然この映画の主軸は「笑い」にあると思います。
「たけしの誰でもピカソ」でビートたけしが、
「今は何でもありでウケればいい時代だけど、長続きする笑いは、
 誰が見ても笑える笑いだよね」とボソっと言っていたのを思い出しました。

シュール、微妙な間、もしもシリーズ、たむらけんじの獅子舞(これ大好き)、
鶴瓶の街角で見かけたおっさん話、やすきよの漫才、
タモリの多国籍マージャン(これも大好き)、吉本新喜劇の全員ずっこけ。
お笑いのジャンルはどんどん多様化し、人それぞれハマるツボが違いますが、
映画の中では、鼻血、デブ2人組、タクシーに人いっぱいなど、
文字にしただけでも笑える、理屈抜きの爆笑シーンがてんこもりです。
ここ1ヶ月くらいは、このシーンを思い出して笑えそうです。
監督の熱気に引きずられてか、
岸本加世子・大杉漣・渡辺哲(ラーメン屋の親父)らの演技も冴えてます。
この映画に、たけしの芸人魂を見ました。
(少々熱くなってますが、関西人として「笑い」にだけは一家言あります)

一方、難解との意見もあるこの映画の構成。
主人公北野たけしの空想(妄想)、そしてその中で繰り広げられるイメージ世界の展開。
現実に起こっている出来事と空想の世界が行ったり来たりします。
この映画の構想は、10年程前から監督の中にあったそうです。
当初考えていた映画のタイトルは『フラクタル(不規則な断片という意味)』。
それらは、頭の中にこびり着いてトラウマになっているイメージや、
ことあるごとに夢に出てくる映像(私の夢に出てくる宇宙人母子とか)、
鬱屈したフラストレーションが呼び起こす良からぬ想像、
それらが時おり意識の中にフラッシュバックしてくるようなもの。
(文章で書くと余計ややこしいけど)
単なる表現手法、ドラッグムービーのようなものだと私は解釈しました。
こういう映画は、ただ何も考えず映画のリズムに同調するのが正解です。

海外での評価が高い北野作品ですが、
これまで私には、銃撃シーンは、男の子がピストルのおもちゃで遊んでるとしか思えず、
北野ブルーと呼ばれる情緒的な浅く青いトーンや
『Dolls』で風車が回っている鮮明な赤いトーンは、
日本人ならどこかで感じたことのある原風景が具象化されただけで、特に印象に残らず、
北野作品は「観ても観なくてもいい映画リスト」に入れていました。
しかし、映画とはこうあるべき、という概念をとっぱらい、
まさに500%の「たけしワールド」を映像化した映画がこれからも作られるなら、
「観なければいけない監督リスト」の筆頭に、北野武の名前を入れるべきでしょう。

日本映画の、日本のお笑いの将来は明るいと思える映画でした。
もうすぐ劇場公開は打ち切られますが、
子供からおじいちゃんおばあちゃんまで、「8時だョ!全員集合」を見る感覚で、
是非お茶の間で観て下さい。(★★★★☆)


『TAKESHIS'』
2005年日本映画
監督・脚本・編集 北野武
出演 ビートたけし/京野ことみ/岸本加世子/大杉漣/寺島進 /渡辺哲/美輪明宏/
六平直政/ビートきよし/津田寛治/石橋保/國本鍾建/上田耕一/高木淳也/芦川誠/
松村邦洋/内山信二/武重勉/木村彰吾/THE STRiPES TOSHI DJ HANGER
http://www.office-kitano.co.jp/takeshis/
(日本公式サイト)

設定テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
「TAKESHIS'」@新宿松竹会館
世界のキタノの新作は、まったく新しい映画体験をもたらす刺激的な作品でした。北野武自身の集大成かつ新しい出発点に立ち会えたことを幸せに感じるとともに困惑している。 ...続きを見る
流線型事件
2005/12/08 04:21

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
AKOさん、こんばんは!
北野武の名前を聞いただけで、平常心を失ってしまうくらい彼を心底尊敬してます。
実は先月1週間ほど日本にいたのですが、なんと日本を発つ日に封切られたのです、この映画。自分の運命を恨みましたよ、ホントに。。。いつの日か、ドイツでもほんの数日くらいは上映されることをひたすら祈ってるところです。AKOさん絶賛ならますます楽しみです!
私も北野監督のユーモア感覚がとにかく好きで好きでたまりません。
あぁ…、これまで観た彼の作品のことを考えただけで、もう心臓がドキドキしてきちゃいます。これじゃ今晩眠れないかも?!
rbhh
2005/12/07 06:04
今日は。
なんだか、すごく楽しまれたようですね。
僕はそこまでお笑い中心ではなくて、ダークな私的な怨念みたいなものも感じたりしましたが、でもガチガチの「私映画」でもなくてエンタテインメントになっていると思います。
編集がアヴァンギャルドなんですが、シーンごとの芝居自体はきちっと見せているので、お笑いをちゃんと楽しめるものになっていると思いました。
自分の記事は以下のものです。(トラックバックしようとしたらうまく出来なかったのでリンクしておきますね。)

http://blue.ap.teacup.com/documentary/396.html
kusukusu
2005/12/07 16:43
コメント、ありがとうございました。

ホントに、
ここまで観た人によって感想の異なる映画って
最近じゃ珍しいと思います。だけど、
“泣ける映画=イイ映画”みたいに言われてるなかで、
観た人それぞれがああだこうだと
てんでバラバラなことを言えるってゆうのは、
映画の観方として最も健全なカタチなんじゃないでしょうか。
だって、映画なんて
時間割いてお金払った時点で観た人個人の所有物だと思うから、、、

たけしって、
すごく気の小さい人だとボクは思うんです。
で、それを踏まえた死生観や人生観みたいなものを
これまでは主観的に描いてきただけだったんだけど、
今回はそれを、一歩引いたところで、
コメディアンらしく上手にチャカしながら映画にしていたところが、
男としてカッコいいなぁ〜と。
これが、ボクの 『TAKESHIS’』。

たけしに関しては映画も笑いも昔から大好きでしたが、
これで、決定的に好きになりました。
(ちなみに、タモリの“五ヶ国語麻雀”と、
鶴光の“ミッドナイト・シアター”は
文化財に指定するべきだとボクは思っています・笑)
栗本 東樹
2005/12/07 19:49
私が男だったらきっと、かっこいいなぁ〜と思っていたと思います。
私は女だから、かわいいなぁ〜と思ってしまうんですね。
>タモリの“五ヶ国語麻雀”と、鶴光の“ミッドナイト・シアター”は文化財に指定するべき
同感です。
Ako
2005/12/08 01:29

コメントする help

ニックネーム
本 文