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今観たいのは、日本のお笑い映画。 そして今回観た映画は、天才・松尾スズキ初主演の『イン・ザ・プール』。 [ストーリー] 伊良部総合病院には様々な患者が訪れる。 伊良部総合病院の精神科医"伊良部一郎(松尾スズキ)"は、病院の跡取り息子。 ヒョウ柄のシャツとブーツに白衣という出で立ちも怪しいが、 性格はいい加減でお気楽。 患者への対応はテキトーで話を聞いてないし、ともかく突拍子もない男である。 だけど、不思議な魅力があり、心を病んだ患者たちはなぜか彼を頼ってしまう。 プールで泳ぐことに夢中になっている男がここにひとり。 彼は大型アウトレットモールの開発担当"大森和雄(田辺誠一)"。 妻一人、愛人一人、そして仕事もできる男だ。 ストレス発散のためプールで泳ぐようになり、そのお陰で体調は少しずつ落ち着く。 また忙しくなり水泳ができなくなると、てきめんに体調が悪くなる。 ストレスを解消するためにプールに通っているはずが、徐々に「プール依存症」に。 だんだんとその症状はエスカレートし、 徹夜仕事のちょっとした合間にも、プールに向かってしまう有様。 中堅メーカーに勤務する営業マン"田口哲也(オダギリジョー)"は、 ある日突然、24時間勃ちっ放しという「継続性勃起症」に悩まされるようになる。 とりあえず泌尿器科に駆け込み、たらい回された末に、伊良部の元にたどりつく。 女性に対してはっきりモノがいえない、自己を発散する事ができない性格。 取り巻く状況は悪化する一方で、勃起がおさまる気配がない。 そんな田口に対してまたしても伊良部は言う。 「別れた女の所へ行っておもいっきり文句を言ってやろう」と・・・。 伊良部の元を訪れている女性がひとり。 ジャーナル系出版社に出入りするルポライター"岩村涼美(市川実和子)"。 帰来生真面目で努力家、探究心が強く、気になるといてもたってもいられなくなる。 その性格が災いしてか、確認行為の習慣化、いわゆる「強迫神経症」に陥ってしまう。 家のガス、電気はもとより、鍵を閉めたか? 仕事も度々すっぽかし自分でもショックを受ける涼美。 そんな彼女に対して、伊良部は治療と称して様々な事をするように進める。 「隣の悪徳病院に、石を投げてやれー。」 そんな伊良部の強引さというか身勝手さに次第に引き込まれていく涼美だが、 ある日、子供の頃の重大な過ちを思い出し、 またも、いてもたってもいられなくなってしまう・・・。 [観おわって] 今回は長々とストーリーの紹介をしましたが、映画の内容はこれが全て。 現代社会でストレスを抱える大人たちをあざ笑い、 そして最後に肩を優しく抱き寄せ、「大丈夫だよ」と囁く伊良部先生。 彼は現代のヒーローであり、癒しのマスコット・ボーイ(おっさん)です。 色んな意味でイタいキャラはいっぱい登場しますが、 観るべきポイントは、ストーリーやメッセージなどでは決してありません。 登場人物たちが織り成すちっちゃなギャグを一つでも多く見つける事、 これがこの映画の全てです。 食べ物で言うなら、まさにホテルのランチ・バイキング(?!)のような映画。 ハンバーグや海老チリ、パスタもあれば、ぶりの照焼きまで、 パンもご飯も、ケーキもおしるこまで付いてきて、 制限時間101分、食べ放題でたったの1800円ぽっきり! 前菜からいってもよし、メインディッシュからいってもよし、 デザートからでもコーヒーからでも何でもあり、それがバイキングの魅力であり、 この映画の魅力なのです。楽しむも楽しまないも自分次第。 映画の方からは「どうぞお好きに」とだけ言われているかのようです。 1つしか面白シーンを見つけられなかった人は「残念でした」 10コも20コも面白シーンと出会えた人は「ラッキーでした」 この映画を手掛けたのは、放送作家兼映画監督の三木聡。 これまで担当したTV番組は、『タモリ倶楽部』『ダウンタウンのごっつええ感じ』 『笑う犬の生活』『トリビアの泉』など、秀作ぞろい。 ドラマ『時効警察』は現在放映中(あ、今日だ)。 2000年までシティボーイズライブの作・演出を手掛け、 その他の映画には『亀は意外と速く泳ぐ』がある。 要するに、笑い(キーワードは、普通・とぼけた人・ありえない偶然)の 全般を作っている人です。 ちなみに、主演の松尾スズキ。 この人も全然‘笑い寄り’の人。そして肩書きは「大人計画」主宰者。 ご存知「大人計画」という劇団は、 今や飛ぶ鳥を落とす勢いの宮藤官九郎、阿部サダヲ、荒川良々など 人気者を多数輩出する伝説のお笑い劇団。 松尾スズキ初監督作品『恋の門』では、 その独特の疾走感と、底なしにアブノーマルな世界観が存分に表現されていました。 さらにちなみに、この映画で私が一番ツボだったのは、編集長演じる‘ふせえり’。 ビシバシステムのメンバーで、彼女もまた舞台からTVドラマや映画までこなせる女優。 独特の風貌でナナメ上から見下ろすあの独特の表情は、 彼女にしかできない、まさに「顔芸」です。 思い出すのは、竹中直人と共演した伝説の深夜番組 『東京イエローページ』『恋のバカンス』『デカメロン』。 竹中直人扮するショスタコビッチ一朗太、ナン男、流しな2人、、、 そして‘ふせえり’は、突き抜けてる竹中直人の隣にたたずめる女NO.1です。 (こんな話、楽しいの私だけ?) 映画の話から逸れてしまいましたが、作品としての‘お笑い’とは、 笑いを作る人と笑いをヤル人、そして笑う私の三位一体で成り立っています。 三者がともにレベルの高い笑いを理解していれば、その笑いは無限に広がります。 一方で、笑いドコロは人それぞれ千差万別であるというのも事実。 だからこそ、‘お笑い’は難しいとも言えますが、 自分の笑いの感性に自信を持った人間が、わかる人だけわかれば良いんだ、と 腹をくくってお笑い映画を作ったなら、それはどこまでも広がり、 ハマった人を笑い死にさせるくらい殺傷能力のある映画となり得る訳です。 この映画について言えば、そんなマニアックな作品でも何でもなく、 人間性に関するリアリティだってちゃんと描かれています。 監督も言うように、これは監督三木聡の小ネタ集です。 最高に可笑しい脇役陣のちっちゃい動きまで目を皿のように凝らして観ていれば、 自ずとこの映画の観るべき価値を見出せるはず! 日本が誇る上質の笑いを、その目でしかと見届けよう!(★★★☆☆) 『イン・ザ・プール』 2004年日本映画 脚本・監督 三木聡 出演 松尾スズキ/オダギリジョー/田辺誠一 /市川実和子 |
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