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help リーダーに追加 RSS 『マリー・アントワネット』と『無花果の顔』

<<   作成日時 : 2007/01/27 02:13   >>

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2時間では語り尽くせぬ女の一生!
たまたま立て続けに観た2本の映画、
図らずも、どちらも女性の監督の、
どちらも女の一生を題材にした作品でした。

マリー・アントワネットの名前そのものが、悪女の代名詞。
14才でオーストリアの富豪ハプスブルク家からフランス王家へ嫁ぎ、
19才で王妃となり、3人の子を産むも、
贅の限りを尽し、ゴシップが絶えず、
38才で絞首刑となった彼女の生涯は、あまりにも有名。
小説や演劇、映画で度々描かれたマリー・アントワネットのという人、
フィクションの象徴のような人物像を、
どこにでもいる女の子のレベルまで引きずり下ろし、
ソフィア・コッポラ版とでも言うべき、
全く別の色に染めていたのには、驚かされました。

後年、国民が貧困に苦しんでいるさなか、
宮中できらびやかな生活を送り、
そして最後に国民の手により処刑される数奇な運命。
転落していく運命のクライマックスこそ、
彼女のドラマ性に他ならないのですが、
監督が、映画の大部分を費やしたのは、
フランスに渡ってきたばかりの初々しい10代の頃の話。
マリーアントワネット役のキルスティン・ダンストンは、
その溢れんばかりの笑顔や、小首のかしげ方、視線の送り方がパーフェクトに愛らしく、
映画の雰囲気と相まって、どのシーンを切っても美しい絵画のようでした。
自然光を活かしたライティングを通して見える景色は、
かつて見た事のある原風景を思わさせ、
ちょうど人の目線と同じくらい低く縦横無尽に動き回るカメラワークは、
人並みの中にあって、
自分がその場にいるかのような臨場感を与え、
時代ものとはとても思えないリアリティ漂わせ、
一つとして無駄なカットのない洗練された映像に仕上げられていました。

あくまで優しく繊細で、
既存の映画のセオリーを軽々と打ち破る斬新さと、
絶妙なバランス感覚を持つ、
S.コッポラは、映像作家としても、
優れた才能を持つ監督一人だと、
この作品を観て改めて思いました。

一方、桃井かおり初監督作品『無花果の顔』。
「かおりが〜、ちょっと頑張ったら映画出来ちゃった、みたいな?」
なかなかどうして、味のある映画でした。
貧しくも、夫と子供を愛し、
小さな生活の中で生きた、名もなき女の人生。
無花果の木のある庭を囲む一戸建ての家。
時に悲しく、時に逞しく、
小さなボタンのかけ違いが、次々に人生の歯車を狂わせ、
エキセントリックな感情を生み、知らずに心に傷を負い、
そしてまた平凡な日常が流れていく。
生活の中に潜む些細なアブノーマルを、
独特の色彩で彩り、転調を繰り返し奏でているところは、
一見の価値ありです。

夢想するように、
目まぐるしく変化し、時に浮遊するカメラアングルや、
ビビッドな色合いは、シュールレアリズムの絵を見ているようでした。
『TAKESHIS'』で見た、男の夢とは対照的に、
『無花果の顔』は、女の夢。

ただ、あえて『TAKESHIS'』と比べるなら、
圧倒的な迫力に欠けたのが残念なところ。
個性的なキャラクター設定があるものの、
それら一つ一つを描ききれていないという点で、
脚本の作り込みの浅さが目につきました。
時おり差し込まれるファンタジックな映像が、桃井かおり姐の夢ならば、
もっとおどろおどろしく、凄まじい夢に違いない。
カオリストなだけに、勝手にそう思ってしまいました。

『マリー・アントワネット』と『無花果の顔』。
一方は歴史名を残したセレブリリー、
一方は誰も知らない名もなき中年女。
そこに描かれた2つの人生は、
時代も、与えられた環境も全く違いますが、
2人の運命に、どことなく共通するものを感じました。
それは、周囲の人間の愛や陰謀、優しさや憎しみに翻弄された人生であったこと、
そして、どんな状況にあっても、
自分を不幸だと決して思わない強さと、
導かれるものに対して、
どこまでも無垢であり続けた愚かさだったように思います。

女が女を本気で描く時、
それは、辛辣さと深い母性、優雅さが混ざり合い、
神経質なほど繊細で、ハッとするほど大胆なものとなる。
だからこそ、女はそこに、大きな共感を抱くのです。
女は意外と単純な生き物なのかもしれない。。。


『マリー・アントワネット』(★★★★☆)
2006年アメリカ・フランス・日本映画
監督・脚本 ソフィア・コッポラ
出演 キルスティン・ダンスト/ジェイソン・シュワルツマン

『無花果の顔』(★★★☆☆)
2006年日本映画
監督・脚本 桃井かおり
出演 桃井かおり/山田花子/石倉三郎


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コメント(2件)

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ソフィア・コッポラって、もしかしたら、本当に天才かも?
歴史ものを期待すると外すかもしれませんが、キルスティン・ダンストをたっぷり見せる女の子ムービーとしたら最高ですよね。まあ、僕はほとんどキルスティンにただ見とれていただけなんですが(笑)。
ルイ16世がおたくっぽい雰囲気のジェイソン・シュワルツマンなのも何気に妙なキャスティングでした。ジェイソン・シュワルツマンはソフィア・コッポラのいとこなのでだから起用されたんでしょうが。

『無花果の顔』は見てませんが、そうですか、Akoさんはカオリストですか。桃井かおりっていつも自然体に桃井かおりがそこにいるって感じでいいですよね。監督もそういう感じでされてしまったんでしょうか。

こういうガールムービーや熟女ムービー(?)がいっぱい増えると楽しくていいですね。

http://blue.ap.teacup.com/documentary/
kusukusu
2007/01/27 23:58
>kusukusuさん
可愛かったですね〜、キルスティン・ダンスト!きっと、ガールズムービーと言われることがわかっていて、こんな映画を撮る潔さもまた、私は好感度大でした。
『無花果〜』も荒削りながら、2作目を期待させる出来だった思います。機会があったら是非観てみて下さい。
Ako
2007/01/29 00:08

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