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help リーダーに追加 RSS 『真夜中のピアニスト』

<<   作成日時 : 2007/04/20 02:33   >>

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またもアメリカで銃乱射事件。
突発的に振り切った思考のおもむく先が、
人の命を奪う行為だったというのは、何ともやり切れません。
何に絶望し、何に復讐したのか、
声なき声で伝えようとしたこと何だったのか、
そして、それを伝えることが出来たのか。
単なる好奇心にすぎない一時の関心は、
彼の内面に向けられますが、
それは想像の域を出るものではありません。
得体の知れない無気味な恐怖感。
今となっては、
彼の生い立ちや心情をドラマチックに仕立て上げることでしか、
この恐怖をぬぐい去る方法は残されていません。

映画で描かれる悲劇では、
その奥にある人間の怒りや悲しみが表現され、
理解を助けると同時に、
それが救いとなります。

伏し目がちで不機嫌そうに毎日をやり過ごしている主人公のトム。
煩雑で汚れた生活に埋没しながらも、
どこかで救いを求めている。
まるで捨て犬のように。

父への憧れと亡き母への恋慕。
知らず知らず絡め取られていた、父という存在の呪縛が解かれた時、
突然、彼の目の前に光が差し込みます。
自分が本当にやりたかった事は何なのか、
進むべき道はどこなのか、
それを見い出すことが出来た時、
その希望は、人生に喜びをもたらします。
しかし、数カ月を経て、
その希望の光はゆっくり閉ざされていきます。
そして、かつて想像した通りの、
サエない人生が再び始まるのです。

信じることができる希望を見つけた。
そして、その希望は自分を見捨てた。
最も幸福な人間は、希望を持った人間。
最も不幸な人間は、希望を失った人間です。

これは、救われることを望んだ弱者(もちろん私も含まれる)の物語。
強く望み、信じ続けることが、
成功への道だとするなら、
希望を持ち続けることが出来ない人間には、
それなりの報いしか手に入らない。
突き付けられた真実を前に、
諦めの脱力感と若干の切なさ、
主人公のマインドと同調する心地よさのようなものを感じました。
堕ちていくことが心地いい、そんな映画です。

命を絶った学生の目の前にも、絶望があったのだろうか。
彼もまた、信じた希望に見捨てられたのか。
そして、絶望した自分の人生を、
そのまま受け入れる勇気がなかったのか。

主人公が、つかの間夢見たピアニストへの道。
ピアノの音色はとてもシンプルで、
それだけに、ダイレクトに心の琴線に触れてきます。
目を閉じて、ピアノの音を聞いていると、
「清らかであれ、美しく、真直ぐであれ」と語りかけてくるかのようです。
(★★★★☆)


『真夜中のピアニスト』
2005年フランス映画
監督 ジャック・オディアール
出演 ロマン・デュリス/ニール・アルストラップ/リン・ダン・ファン/
   オーレ・アッティカ

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
「真夜中のピアニスト」というタイトルに惹かれている私です。原題は知りませんが、いい邦題をつけたなと思います。現代に生きている人間は誰しもが、心のどこかで救い、魂の浄化を求めているのかも知れません。現状から一歩踏み出そうと試みることは尊いことだと思います。思い通りに行かないのが人生。どんな道を選択したとしても、そんな現実を甘受せんといかんのです。…観るのを一旦見送った映画ですが、ちょっと観たくなってきました☆
めとろぽり太
2007/04/26 21:04
めとぽりさん、こんばんは。
この邦題については、賛否両論あるみたいですが、「真夜中」と「ピアニスト」という言葉のコントラストが意味深で、興味をそそりますよね。
おっしゃる通り、絶望した時にこそ、その人の真価が問われるのだと思います。誰にでもある人生の局面を、フランスのエスプリで彩った面白い映画でしたよ。
私も劇場には足を運べなかったのですが、めとぽりさんもぜひDVDで観てみて下さい。
Ako
2007/04/27 01:23

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