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help リーダーに追加 RSS 『クイーン』

<<   作成日時 : 2007/06/10 00:42   >>

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有名人のゴシップほど楽しいものはない。
下世話であればあるほど面白く、
不幸な話であればあるほど、その真相を知りたくなるもの。
大富豪の豪邸から大家族の貧乏屋敷まで、
他人のお宅を隅々までチェックしたいし、
熱愛だ、結婚だ、離婚だ、慰謝料だ、どこまでも気になるもの。

世界中が熱狂したダイアナ妃の場合もそうでした。
パリでの自動車事故という悲劇が起こったのは、今から10年前のこと。
ダイアナ妃の奔放な性格と、
厳格なイギリス王室の対立という単純な構図に落とし込まれた報道は、
しだいに一人歩きを始め、過熱する報道争いの末に、
あまりにも悲惨な結末を迎えました。
パパラッチという仕事があり、
それが金になることも、誰もが初めて知ったことです。

「ダイアナさん若いのに可哀想よね〜」
「チャールズには長く不倫相手がいるってよ〜」
「王室なんかに嫁ぐと大変よね〜」
まったく、余計なお世話である。

一人の将来ある女性を死に至らしめ、
一国の王室をスキャンダルまみれにするほどの‘悪’が本当にあったのか。
巻き起こっては収束し、何もなかったかのように流れ、
定着する事は一握りで、
ほとんどの風潮は忘れ去られ、
いつの時代もそうやって同じことを繰り返すのです。

エリザベス女王を演じたヘレン・ミレンは、
この映画で、アカデミー主演女優賞を受賞しました。
彼女の演技は、この映画の見どころの一つで、
女王という立場を生きる一人の女性を、
上品かつ、確かな演技力で見せています。
この映画で描かれているのは、一人の女性の人生です。

とかく予告編などでは、
ダイアナ妃の死の裏に、
イギリス王室の関与があったのではないかという黒い噂や、
ダイアナVSエリザベス女王という嫁姑の対立などがほのめかされ、
ここへきてなお、
野次馬根性を煽ろうとする魂胆が、何ともしょっぱい限りなのですが、
この映画は、そんなしょーもないものを描いた作品ではありません。
もし私がこの映画の宣伝を担当したなら、
絶対にゴシップ的なアプローチはしないだろうと思います。
あくまでも、この映画は、
一人の女性の人生を、イギリス風な上品さで描いた美しい映画であって、
芸能界復帰第一弾として発行される暴露本の類いではありません。

聡明で強い精神力を持ち、
決断力と行動力を持った一人の女性。
一国の行くべき道を示す政治的権限を持ち、
国民のために生きる自覚ゆえに悩みもし、
自然を愛し、時には一人で森の中を運転し、
そして彼女は、生まれながらにして女王だったのです。
同じ人間でありながら、
特別な存在であるエリザベス女王の生き方を見て、
立場は違えど、女性なら、共感するものがあると思います。

いつも笑っていたいし、
誰からも愛される女でいたい。
必要とされる存在でありたいし、
自分が生まれてきた本当の意味を知りたい。
その一方で、曲げられない信念があり、
誰もがその葛藤の中で生きていて、
それは女王とて同じこと。

しかし、なぜ今なのか。
目新しい演出やエピソードがあるわけでもなく、
ともすれば、昼メロにもなりかねない退屈さは拭い切れず、
数ある映画の中にあって、少し物足りなさを感じるかもしれません。
あくまでも、
一人の人間を描いた、ヒューマンドラマです。
スノッブなベールに包まれた王室という世界と、
凛と立つ一人の女性の生き方。
いずれにしても、背筋が延びる映画です。(★★★☆☆)


『クイーン』
2006年 イギリス・フランス・イタリア映画
監督 スティーヴン・フリアーズ
出演 ヘレン・ミレン/ジェイムズ・クロムウェル/アレックス・ジェニングス

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