|
天才松本人志が映画を撮る。 映画と同じくらいお笑いが好きな私が、 松ちゃんが作った映画を観ないわけにはいきません。 公開されるまで、 ストーリーはおろか、映画の存在さえもオープンにされず、 ふたを開けて、まず驚いたのは、 カンヌ映画祭の監督週間にこの作品が出品されていたこと。 カンヌ映画祭といえば、 世界中から気鋭の映画監督作品が一堂に会する場。 今年は、河瀬直美監督の『殯の森』がグランプリを受賞し、 地道に、個性的な作品を作り続けている彼女の受賞は、 本当に感動的でした。 そのカンヌ映画祭に、畑違いの松本人志がどう挑んだのか。 興味をそそります。 師承を持たないお笑い新世代のホープとして登場したダウンタウンは、 関西を中心に、若い世代に絶大な人気を集めました。 もちろん私もダウンタウン世代ど真ん中です。 言いたいことを言い、やりたい事をやる、 そのスタイルは、いつも新しくて、いつも面白い。 オモロイかオモロナイか、 それを決めるのは私たち観客ではなく、松ちゃん自身である。 笑いに対する妥協のなさは、テレビを通しても感じられました。 当然のことながら、 観客に媚びない松本人志の笑いが、万人に受け入れらるわけではなく、 価値観の違いや世代によっては、全く笑えない人が多いのも事実です。 そしてそれが、松ちゃんの笑いの最大の特徴でもあります。 この映画を面白いと言うべきか、悩みました。 (べつに誰にも頼まれてないけど) 鉄板で笑えるヴィジュアルや台詞は山のようにあるし、 映画的に計算された構図などは、 もはや、一端の映画として全然成立していて、 スクリーンに身を委ねる心地よささえありました。 ところが、 ラストまでの約10分で、 それまでの映画的余韻が木っ端みじんに砕かれることになります。 それもグッチャグチャに。 あまりに真剣に取り組んでしまった松ちゃんの、 一世一代の照れ隠しのようで、 観ているこっちの方が、ものすごく恥ずかしくなりました。 映画に限らず、ドラマや芝居なんて、 真剣にやればやるほどほど、この上なく恥ずかしいものです。 ありもしない出来事を、血眼で再現するわけですから。 ただ、映画のいいところは、 とことん独自の世界観を見せ、現実離れした世界に引き込んだとしても、 2時間もすれば、 きっちりエンディングを迎えることが出来るところです。 終わり良ければ全てよし。 ラストできっちり帳尻が合っていれば、 記憶に残る作品にもなり、 観客は、その映画から何かを学ぶこともできます。 その映画の掟を破ってしまった部分は、 新しいと言うより、大きな失敗だったと言わざるをえません。 本来、笑える映画はエライ!のです。 ベタベタのエンターテイメントではなくとも、 美しい映像と、映画のセオリーに則り作られた作品で、 そのうえ笑える映画なんて、 お決まりのストーリーで泣かせるお涙頂戴映画より、 何倍もエライのです。 『猫が行方不明』のセドリック・クラピシュや、 『ライフ・アクアティック』のウェス・アンダーソン、 『リトル・ミス・サンシャイン』や『TAKESHIS'』なども、 優れたお笑い映画だと思うのですが、 (チョイスが偏ってる) 映画としての体裁を保ちつつ、きっちり笑わせています。 『大日本人』は、カンヌで、批評家に酷評されたと聞きました。 当たり前です。 映画の国フランスで、この映画がウケるわけがありません。 そもそも、 カンヌに出品すること自体、無意味なことに思えます。 テレビサイズで十分だとは言いませんが、 松ちゃんのナローな笑いが詰まったこの作品は、 日本人にこそ、観られるべきものです。 北野武が海外向けに映画を作るなら、 松ちゃんには大阪の匂いを多分に残しつつ、 日本向けにコアな笑いの映画を作ってほしい。 松ちゃんが、 テレビでやり切れない笑いを映画でやろうと言うのなら、 もちろん、これからも作ってほしい。 人を笑わせることが出来る人にとって、 人を泣かせることや感動させることなんて簡単なこと。 松ちゃんが、照れずに1本でも本気で映画作ってくれたなら、 相当スゴイ作品になることは明白です。 だって、松本人志は天才ですから! 『大日本人』 2007年日本映画 監督 松本人志 出演 松本人志/竹内力/UA/神木隆之介/板尾創路 |
| << 前記事(2007/06/23) | トップへ | 後記事(2007/08/15)>> |
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
公開初日に見ました。 |
Babel 2007/07/11 23:31 |
Babelさんこんばんは。 |
Ako 2007/07/13 00:38 |
| << 前記事(2007/06/23) | トップへ | 後記事(2007/08/15)>> |