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23才という若さでこの世を去ったイアン・カーティス。 駆け抜けた短い人生を駆け抜けた、 一人の青年を描いた映画です。 彼が在籍していた「ジョイ・ディビジョン」というバンドも、 イアン・カーティスが逝った後結成された「ニューオーダー」も、 ほとんど聞いていないので、 彼らの音楽性など何の知識もありません。 ただ、才能あるアーティストの早すぎる死というのは、 誰しもが興味を抱くところ。 彼を死へ突き動かしたものは何なのか。 彼は特別だったのか。 イアンの人生は、その早い結末を予測するかの如く、 様々なことが、早いスピードで彼の身に降りかかります。 若くして結婚、子供を持ち、 妻以外の魅力的な女性との恋、 世間から期待される自分と本当の自分とのギャップに苦しみ、 病気、そして死への恐怖。 しかしそれらは、 決して彼だけに起こる事ではなく、 誰にでもありえることです。 自ら死を選ぶほど追い詰められたのは、 一人の青年が、 それら一つ一つを理解し消化できないまま、 周囲に流されざるを得なかった状況のためであり、 20才そこそこの人間には、 とても持ちきれない悲しみを、 真っすぐ受け止めることしかできなかった、 純粋さゆえの悲しい結末だったのだろうと思うのです。 決して特別な人間ではない、 特別ではないからこそ、 見えた風景を綴った詩に人々は共感し、熱狂した。 しかし、それが彼を苦しめた。 イアンの妻を演じたのは、サマンサ・モートン。 自殺をする直前、最後に言葉を交わしたのも、 一人にしてくれと言われ、 戻って最初に彼の亡きがらを見つけたのも彼女でした。 幼い子を抱きしめ、 「誰かたすけて!」と泣き叫ぶ彼女の姿は痛々しく、 この上なく悲しい姿でした。 周りの誰も、若い彼らを救うことは出来なかったのだろうか。 死んでしまいたいと思うことはあります。 誰かを傷つけ、誰かに傷つけられ、 誰かにとって自分はとてつもなく無用の存在で、 自分で自分を汚らわしいとさえ思う。 誰にも愛されないのなら、いっそ消えてしまいたい。 突発的に思うことがあります。 そのたびに、 限りないの自分の未来を少しずつ諦め、 昨日より情けない自分を認める準備をする。 みるみる削られていく自分の可能性を知り、 所詮それが自分なのだと静かに受け入れる。 それができるうちは、 自ら命を絶つことはありません。 しかしそれは紙一重で、 不確かな存在であることに違いはありません。 ありふれた悲しい物語。 誰かが幸福を手にした時、 その一方で、誰かが悲しみに打ちひしがれている。 誰もがそのどちらにもなりうるのです。 だからこそ、 この悲しみから目を背けてはいけない。 そんな思いにさせる映画でした。(★★★★☆) 『コントロール』 2007年イギリス・アメリカ・オーストラリア・日本映画 監督:アントン・コービン 出演:サム・ライリー/サマンサ・モートン |
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